悪臭問題A
悪臭問題 食品工場の臭気対策設備設置
相談者:原因者
場 所:愛知県内
原因者:食品工場
被害者:なし(工場周辺住民を想定)
1.相談内容
商品製造過程での排気に臭気が含まれているが、現在は未処理で大気放出している。
以前は工場周辺が農地だったこともあり、現在のところ苦情などはないが、毎年宅地開発が進んでいるため、近隣にまとまった戸数の住宅が建てられ始めた。風向きによっては、排出した臭気が宅地まで届くと思われるので、苦情が出る前に臭気対策をとりたい。食品を扱う工場であるため、化学的な処理での臭気対策は行いたくないとのこと。
2.状況
工場では商品製造過程で湯気と共に間欠的に臭気を伴う大量の排気を大気に放出している。
排気量は最大で1時間当たり50m3で、工場は繁忙期には24時間操業となり最大で1日50回程度、臭気を発生させる工程を行う。臭気の発生源となる排気口は1箇所で排気口高さ10m程度、敷地境界までは20m。最寄の宅地までは100m程度の距離となる。
3.適応法令
悪臭防止法:工場その他の事業場における事業活動にともなって発生する悪臭物質の排出を規制する法律として1971年に制定された。評価方法は、「特定悪臭物質」の濃度による規制と、「臭気指数」を用いる規制の2種類ある。都道府県知事により、評価方法をどちらか指定され、敷地境界線、気体排出口、排出水について規制基準が定められている。
2種類の規制のうち「特定悪臭物質」とは不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質であって政令で指定するものである。もう1種類の「臭気指数」とは人間の嗅覚によってにおいの程度を数値化したもので、この測定には、一般に三点比較式臭袋法を用いる。
4.問題解決への道
臭気の発生箇所が明らかで、臭気物質も蒸気に含まれる成分がほとんどだと思われる。工場側の要望により化学物質を用いた除去は行いたくないとの事なので、消臭剤は使わず、水洗スクラバーにより排気を水で洗い臭気物質を水に溶解させ除去する方法を提案した。
実証実験を行い、除去効果を確かめることになった。実証実験では、1分あたり5m3の気体が洗浄可能なモデルを用いた。排気の目標値は臭気指数25とした。
実証実験の結果、原臭の臭気指数が35に対して、処理後の排気は22となり、溶解性の高い物質だったため除去効果は高く、目標値をかなり下回る結果となった。
スクラバー内の貯留水は1日に1回入れ替えることにし、排水は工場既設の排水処理設備に排水されることになった。
既存設備の撤去がなく、設置スペースも十分確保できたので、標準品を設置し、工事費用は600万円に抑えることが出来た。
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